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東光寺の日々

東光寺の暮らしのなかから創作される、詩歌や散文。

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パン作りの長い一日
やっと終えて東光寺へ帰る
石段を踏みしめながら
最初の曲がり角で
わたしはきまって街を見下ろす

月明かりに
街はしんと静まっている

マニスがいたころは
ここまで甘えながら出迎えてくれたものだ
クロガシの葉群れに
月が光り
マニスの真っ黒い毛並みにも
月が落ちて光っていた

思い出はいつでも
月の光りのようにやさしい

庫裡へはいると
座敷は冷え切っているが
暖房をかけ
石段を上がってきた息を整える

湯を沸かし
お茶をいれ
小さな湯飲みに注ぐ
手のひらに
伝わってくる温もり
湯飲みを眺め
ゆっくりと味わう一服の茶

襖には
龍がいる
友人が送ってくれた墨絵
四本の足で
虚空を掴みながら
龍はさらに天の高みに登っていく

机の上の
湯飲み一個
陶器の感触から
作ったひとの思いが伝わってくる
湯飲み

龍は天を目指し
私は茶を飲みながら
こうしていまここにあることの
不可思議を考えている

FullSizeRender-1.jpg
湯飲みをさきほどパステルでスケッチ
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