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東光寺の日々

東光寺の暮らしのなかから創作される、詩歌や散文。

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嵐去って

年を取ると
予定よりも早く出かけたりして
着いた先で時間を持て余したりするが
僕は年を取る前から
早めに家を出るのは性格のせいだろう
間に合うかななどと案じながら行動するなんてことは
あり得ない
今日は予約の45分前に新大阪駅に着いたので
待合室でこれを書き始めた
トンネルに入る度に
通信の途切れる山陽新幹線から発信する

先週の嵐で
東光寺山に吹きつけた北の強風が
台所のブリキ屋根を捲りあげた
被害は軽かったが
可成り屋根のブリキも草臥れていて
源ちゃんは今朝
この際葺き替えましょうかという
では近々ということになり
本堂への石段に行く

枇杷の木と隣り合っている
太い木が
強風で根っ子が浮き上がり
道場の門扉の方に25度に倒れ
金木犀に凭れていた
自分では手に負えないので
源ちゃんに来てもらったのだ

揺すってもびくともしない倒木に
チェーンソーを持って
源ちゃんは細い方に歩いていった
幹先から根元へと
エンジンが唸るたびに
金木犀の隙間からどさっと
あるいはばらばらと落ちてきた
僕は下で待ち受けて
枝切り鋏で分枝を切り
葉っぱのついた枝を小さく股ざきにして
斜面にすてていく
小さくバラして捨てることは
山仕事の基本ですと辻田さんに教わって
以来教えを守って伸びすぎた樹木の管理をしているが
なるほどとうなづくほど
払った枝葉が嵩張らずすっきりと片付いていく

指物の修業中に
段取りについて
父から厳しく言われたことを思いだす
二度手間をしないこと
手間をかけすぎないこと
見えない所から綺麗な仕事をすれば
仕事はすっきり仕上がること
普段の整理整頓が
能率を高めるのだ、、、
云云を思い出す

ぼくの人生もかなり西陽に翳ってきたが
親父の忠言は
身につかぬまま
生きてしまったかも知れない

嵐が通り過ぎて
枝葉が散乱している東光寺山へ帰ってきた時
そんな思いがよぎりながら
パン作りで疲れた足で
枯れ枝を乗り越えて庫裏へ戻ってきた
マニス帰ったよと
暗闇に語りかけながら




genchan


源ちゃんは、夫妻そろって短歌誌「どうだん」の仲間でもあり、短歌を発表している。






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