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東光寺の日々

東光寺の暮らしのなかから創作される、詩歌や散文。

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お坊さん

 お坊さん      

時の暗闇から
ぬっと現れて
不思議なうなり声で
訳のわからぬ異国語を歌い出す
頭を丸めて座るひと
そんな人に出会った幼児期の
薄明な記憶があって
その時の場の匂いも覚えている
普段には見られない
両親の神妙な顔を
怖い物を見るように見上げていた
鐘がチンちんと打ち鳴らされ
うなり声が尾を引くように長くなると
坊主の頭から目を逸らした人が
指でつまんだ抹香を額に献げて焼香する
私は今日も護摩壇に座って
後ろで般若心経を唱える声を聞きながら
子供の頃に
お坊さんの光る頭を眺めながら
母に伴われていた
朧な記憶が不意に浮かんでくる
なぜ私がこうしているのかは
自明にして不明の謎だ
説明すれば人生の謎が解明できるのか
護身法の印を結ぶ
結界した
私と佛と信者とが集う
この空間は
見えない何かが
私に与えた
火と闇の狭間に違いないが
私はいったいどこからやってきて
お坊さんなどに
変身してしまったのだろうか
時の暗闇に
問いかけてみる

 
 ※ 詩人会議 2018年5月号に掲載


IMG_5898.jpg
 東光寺での護摩祈祷

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