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東光寺の日々

東光寺の暮らしのなかから創作される、詩歌や散文。

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晴れた日 

晴れた日  
         山内宥厳

兵隊に魅了される少年でもあった
連隊へ帰る兵隊の隊列に並んで腕を振ったりした

三つほどダイヤルがついた
小さな木箱の中から
音楽が流れ
ラジオ体操の声が流れ
昭和二十年八月一五日昼頃に
変な抑揚の今上天皇の声が流れてきた
耐えがたきを耐え忍びがたきを忍び
ところどころ意味は分かったが
結論はなにを言いたいのか理解しかねている僕に
戦争に負けたんだと叔父が言った
空気が光った
これで空襲がなくなる

神風がそのうち吹いて
鬼畜米英を駆逐してくれる
僕らは政府の言うことに期待していたが
神風など全く吹かず
夜毎空襲警報発令に震え上がった
何度か空爆を受けて
爆弾が落ちる時に空気が裂けていく不気味な音
大地が揺れ耳がツンとして
方角が分からなくなる爆風
恐怖で泣き出した僕を
あかんたれやねーと笑った姉
二十年七月四日の徳島大空襲で
担架に爆裂した人間の肉片を剥き出しのまま乗せて
涙を流しながら運んでいた家族らしいのを見たりした
身の竦むこの恐怖の日々から
僕を解放してくれたこの木箱は
町内で数少ないわが家のラジオだった

        ※詩人会議2017年10月号に掲載済みの詩

参照 徳島空襲後の市街の眺め
tokushima空襲

「語り継ごう 徳島大空襲」体験談
https://www.city.tokushima.tokushima.jp/shisei/peace/daikushu_taikendan/daikushu_taikendan00.html
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