東光寺の日々

東光寺の暮らしのなかから創作される、詩歌や散文。

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訪問者

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日が暮れてきて
雨の匂いをもった風が吹きはじめ
東光寺山は葉擦れに包まれ
マニスの墓は
おがたまの大きな木が闇をつくって
すっかり暗くなっている
庭を背に
座敷に座ってパソコンを使っているぼくは
庫裡にただひとり
なかなかまとまらない詩をにらんでいる
正面の押し入れの襖には
マニスの爪痕がいっぱい残っていて
ひどい痛みは張り変えたが
爪痕も消すにしのびず
いくらか痕跡は残したまま
体裁を整えて補修した
その襖の前を右から左へと動くものがいる
老眼をかけかえて見てみると
なんどか詩に書いた火鉢池の蛙が
座敷を横切ろうとしてはいつくばっている
クロサギに食われたかと心配していたあの蛙であった
だがどうやって座敷へ蛙が入ってきたのだ
毎日火鉢池を眺めては
蛙の心配をしていたのが通じて
冬眠前に無事を知らせに座敷へ忽然と出現したにちがいない
わたしは蛙をそっとたなごころに包みこんで
火鉢池にいれてやると
しばらく水草に座っていたが
やがてぴょんと飛び出して
マニスの墓のくらやみに
消えていった










座敷にやってきた不思議な蛙
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| 東光寺山博物誌 | 18:57 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

東光寺に思いを馳せて。

懐かしくて泣きたくなってきました。宥厳さんのパソコンをしている後姿を通過して、庭の佇まいが余すところ無く私の心にやきついているからです。甘えたマニスの声が聞こえてくるようです。

| 高峰靖子 | 2012/10/28 13:06 | URL |















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