東光寺の日々

東光寺の暮らしのなかから創作される、詩歌や散文。

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喪ったもの

今朝は早起き
五時過ぎから起きだして
まずメダカに餌をやりにいく
十数尾のメダカがいたのに
数日前から
底の方に一尾見えるきりで
火鉢池の水は
数日前から
すこし混濁している
水草がやや脇に寄せられた気配もあって
なにものかが
メダカを狙っているのだろう

火鉢池のなかには
外敵から身を守れるように
孔があるブロックを沈めてある
危険を察知すれば
メダカも蛙も
そこへ潜り込むであろう
と高をくくっていた

七時に出立
八時半に春日の森に間近い
約束の空櫁さんに着く

原生林に入って
盛り上がった巨大樹の根にまたがったりしながら
撮影を進める
canonのカメラに凝視められて
ともすれば強ばりがちの顔
他人にカメラを向けられる時ほど
自意識の在処を自覚することはあるまい
などと思いつつ
笑ったつもりの強張りぶりか

撮影を終えて帰山
汗を掻きながら
やっと登り詰めて臼池の横にくると
葉っぱではないなにかが
沈んでいる
と胸を突かれてすくい取る

 おう この喪失の感覚は
 全世界的なものだ

吉本隆明の初期の詩の一節を思い浮かべた

臼池で孵化したメダカを
少なくなった火鉢池に移し
鳥に襲われた蛙に謝って
火鉢池の上に
黒糸をぴーんと張った

先ほど通りかかると
ざばっと潜る水音がした
ペアでいたもう一匹は
どうやら健在であるようだ
やられたのはどっちなんだろうか

manisfrog


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| 東光寺山博物誌 | 15:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑















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