東光寺の日々

東光寺の暮らしのなかから創作される、詩歌や散文。

2015年06月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年08月

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喪ったもの

今朝は早起き
五時過ぎから起きだして
まずメダカに餌をやりにいく
十数尾のメダカがいたのに
数日前から
底の方に一尾見えるきりで
火鉢池の水は
数日前から
すこし混濁している
水草がやや脇に寄せられた気配もあって
なにものかが
メダカを狙っているのだろう

火鉢池のなかには
外敵から身を守れるように
孔があるブロックを沈めてある
危険を察知すれば
メダカも蛙も
そこへ潜り込むであろう
と高をくくっていた

七時に出立
八時半に春日の森に間近い
約束の空櫁さんに着く

原生林に入って
盛り上がった巨大樹の根にまたがったりしながら
撮影を進める
canonのカメラに凝視められて
ともすれば強ばりがちの顔
他人にカメラを向けられる時ほど
自意識の在処を自覚することはあるまい
などと思いつつ
笑ったつもりの強張りぶりか

撮影を終えて帰山
汗を掻きながら
やっと登り詰めて臼池の横にくると
葉っぱではないなにかが
沈んでいる
と胸を突かれてすくい取る

 おう この喪失の感覚は
 全世界的なものだ

吉本隆明の初期の詩の一節を思い浮かべた

臼池で孵化したメダカを
少なくなった火鉢池に移し
鳥に襲われた蛙に謝って
火鉢池の上に
黒糸をぴーんと張った

先ほど通りかかると
ざばっと潜る水音がした
ペアでいたもう一匹は
どうやら健在であるようだ
やられたのはどっちなんだろうか

manisfrog


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| 東光寺山博物誌 | 15:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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挨拶

五時
昨日の雨で
杜はまだ乾かない

蛙が
気配を感じ
波紋を残して
水没し
緋目高だったのに
今では真っ白い目高が
餌にあやかろうと
慌てた泳ぎ

収集日なので
袋に入れた塵を
持って下りる
少し胸苦しい今朝
庭の空気が
容量いっぱい吸えない
マニスの墓石に
お早うという


manisfrog
photo by Mika Nishitani

| 東光寺山博物誌 | 10:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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流転

道を歩きながら
父は時々立ち止まり
小石を黒い靴で転がして
雨が降れば
水たまりになる
道路の窪みに
放り込む

子供の頃は
舗装路などほとんど無くて
雨が降ると
泥濘になり
水たまりができ
けんけん遊びのように
ぬかるみや水たまりを避けて歩く

小石を窪みに靴で入れるのは
父の習性となっていて
なぜそんなことをするかと
訝しげな目のぼくに
道が少しでも良くなればいいからだ
と小さな善意の積み重ねを
示しているのだった

父は外出には正装した
髪をポマードで整え
一張羅の洋服を着て
中折れ帽も必ずかぶり
黒い磨き上げた靴を履いた

その靴で小石を転がす
道を歩きながら
小石を見つけると
それを繰り返す
父なりの
すこしでもなにかの役に立つという
公徳心の発露なのだろう

そんなことを思い出しながら
流転してきた家族の
子供の頃からの
いろんな場面を思いだす

大阪府南河内郡狭山村だったか
故郷を後に
南海高野線の狭山駅から
住み着いた飯場の小屋

駅で下車して
弟と僕が手を繋ぎ
父の前を歩いていたとき
父はまた
立ち止まって
小石を蹴っていたが
ぼくが振り向いたとき
父は石を蹴りながら
涙ぐんでいた

僕は
黙って前を向き
弟の手を握りしめて
足を速めて歩いた


bizan
故郷徳島の眉山を思い出して描いたクレパス画

| | 20:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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発見

梔子がほのかに香る
白き一輪を花瓶にと
部屋に持ち帰ると
一枚の葉に
ちいさな蝸牛がひっついている
戻してやって
一輪挿しに投げ入れ
裸像の阿修羅に活ける

今朝はからっと晴れ
木漏れ日を受けている火鉢池に
餌をやりにいく
メダカは
すっかり覚え込んで
姿が見えると
鯉のように
浮かび上がってくる

火鉢池の水草が増えてきたので
並んだ臼池に
先日数本の水草を移したら
今朝眺めると
水草についていたメダカの卵が孵化したのか
数ミリに満たない
数匹のメダカが泳いでいる

臼池は浅いので
メダカを入れるのはどうかと思っていたが
このなかで発生したのなら
それなりのメダカ世界なのだろうと
観察することとした

こちらにも
メダカの隠れ家と
メダカの餌を
すこし入れてやらなくてはなるまいて


カタツムリ

IMG_4073.jpg
向こうが火鉢池 手前が臼池

| 東光寺山博物誌 | 13:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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