東光寺の日々

東光寺の暮らしのなかから創作される、詩歌や散文。

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ある別れ

諷誦文

敬白 
それひそかに惟るに
ことばはこころであり
こころはことばであった
ことばはいのちといのちをつなぎ
家族から知人
知人から見知らぬひとへと
息吹きをつたえ
思いを伝えて
人間のかそけき営みを
共有のものにしてきたものであろう

また行動はことばであった
行うところをみれば
ことばとして
ひとびとはそれを受け止め
自他ともに
行動を通じて
思いを知ることにもなった

ひとりの長年の友人
親しく私を弟とも呼んだあなたは
わたしになにひとつことばは残さず
わたしは悲しいひとつの結末から
あなたのこころを忖度する仕儀となって
途方にくれています

あなたはことばをこえて
わたしに絶句を要求するのです

わたしにはあなたの声を聞くに
耳がなかったのです
あなたのこころを受け止めるに
こころがなかったのです

いまこの席にわたしが坐るのではなく
わたしはあなたに
健康法を行ずるひとりの人間として
もっとかかわらなかったことを悔やみます

かつて舞台をともにこしらえました
あなたの演ずる芝居を
袖からなんどか凝視したことがありました
ひとりの舞台監督として

また人生を論ずる相手として
貧しいわたしは
なんどあなたの財布をあてにして
珈琲のテーブルを挟んだ事でしょう

さもあらばあれ
とわたしは強いていわねばなりません
あなたはくりかえしくりかえし
考えてきたに相違ありません
自分の人生の在り方をです
また家族の在り方をもです

わたしはあなたの選択を
決して肯んじるものではありません
われわれに耳がなかったのかも知れないが
あなたはもっと大きな声で
伝えなければならなかったのです
わたしの耳にも確実に届くように
わたしには
そういっていい権利があるように思いたいです

なつかしい友
こころからかたときもはなれることはなかった友
いつからか無縁のひとのように
こころを閉ざしていた友
わたしはあなたになんにもしてあげられなかった
しかしあなたの家族は
あなたのために懸命に踏ん張っていましたよ
このことはあなたも十二分にご存知です
だからこそなんだったのでしょうか

やすらかに存分にお休みください


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